第318回九州・沖縄スライドコンファレンス抄録
- 熊本大学大学院生命科学研究部 総合医薬科学部門 細胞病理学分野 竹屋 元裕
- 熊本大学大学院生命科学研究部 総合医薬科学部門 機能病理学分野 伊藤 隆明
演題募集について
パソコンによるプレゼンテーションについて
今回は、パソコンによるプレゼンテーションです。Windows(OSはXP以降)で作成されたPowerPoint 2003-2007のファイルが使用可能です。Macintoshで作成された場合は事前にWidowsでの動作状況をご自身でご確認下さい。なお、ビデオ画像などの動画の使用はお控え下さい。発表用データはCD-RやUSBメモリーなどのメディアに入れて下記宛に送付してください。
プレゼンテーション受付締切:平成22年11月4日(木)17時00分
診断投票宛先
投票用紙の受付をFAX及び電子メールで受付ています。但し、当日の受付は致しません。
熊本大学大学院医学部生命科学研究部細胞病理学分野
担当:坂下 直実
Fax:096-373-5096
E-mail:cellpath@kumamoto-u.ac.jp
受付締め切り:受付締切:平成22年11月3日(水)17時00分
- 318-01肺腫瘤60歳 女性原岡誠司/福大筑紫
2008年2月、盲腸癌(2型進行癌)による腸重積に対して回盲部切除術を施行した。病理診断は高分化腺癌(ss, ly1, v1, N0, H0, P0, M0, stage II)であった。術後経過観察中、2010年4月、胸部CT検査で両肺野に小結節影を認めた。7月、CT検査で左肺舌区の陰影増強を認め、臨床的には盲腸癌の転移も否定し得ず、左肺上葉部分切除術(VATS)を行った。肉眼的に径約1cm大の比較的境界明瞭な灰白色、充実性病変を認めた。配布標本はその最大割面である。
- 318-02肺腫瘍15歳 女性的野浩士/飯塚病院中央検査科病理
高校入学時の健康診断の胸部レントゲン検査にて異常陰影を指摘され当院へ紹介となる。精査目的で胸部CTを施行し、右肺下葉に50mm大の境界明瞭な腫瘤を認め、右肺中下葉切除術が施行された。肉眼割面像は白色充実性であった。配布標本は腫瘍の一部である。
- 318-03後縦隔腫瘤49歳 男性神尾多喜浩/済生会熊本
当院の健診で胸部CT上,後縦隔に38×18mm大の腫瘤を指摘された.精密検査では,MRIのT1強調画像,T2強調画像ともにlow intensityであり,造影効果はみられなかった.摘出された腫瘤は6.0×5.4cm大で,割面は暗赤色調を示し脆かった.配布した標本は,腫瘤最大割面の一部である.
- 318-04胸腺腫瘍62歳 男性大西紘二/熊本大学医学部附属病院病理部
7か月前より両眼瞼下垂と頸筋力低下が出現し、筋電図でのwaning、テンシロンテスト陽性を認め、重症筋無力症と診断された。その際の胸部CTにて前縦隔に7×3cmの腫瘍を指摘され、胸腺腫が疑われた。その後当院呼吸器外科にて拡大胸腺摘出術が施行されたが、術前に撮影されたCTでは同部の腫瘍は4.9×1.3cmと著明に縮小していた。一部に石灰化を伴う灰白色充実性の腫瘍であり、萎縮した胸腺と連続していた。配布標本は腫瘍部分の最大割面です。
- 318-05縦隔腫瘍43歳 女性菊間幹太/福岡大学病理学
半年前に感冒様症状にて近医を受診し、M蛋白血症を指摘された。胸部CT検査にて前縦隔に濃染効果を示す軟部腫瘤を認め、Castleman病、胸腺過形成や胸腺腫が疑われたため胸腔鏡下拡大胸腺摘出術が施行された。腫瘍径は13×8cm、割面は黄白色充実性で部分的に嚢胞形成を伴っていた。配布した標本は腫瘍の割面である。
- 318-06肝腫瘍79 女性渡辺次郎/公立八女病院
病変は肝S4に存する5cm大の単結節の病変で、CTやMRの画像ではリング状の造影効果を示し、肝内胆管癌が疑われた。肝炎ウイルスマーカーは陰性で、腫瘍マーカーはAFP 3.7ng/ml, PIVKA2S 14mAU/ml,CEA 146ng/ml, CA19-9 415U/mlであった。
お送りしたのは、その代表的な一切片である。
- 318-07腎腫瘍45 男性石原 明/県立延岡
約1ヶ月前、体動時の右側胸部痛および皮下腫瘤を主訴に近泌尿器科受診。MRIにて偶然左腎上極に6cm大腫瘤(T1 low, T2 low)を発見され、通常とは異なる印象だがRCCを疑われ当院泌尿器科紹介受診。腹部エコーではモザイク状腫瘤として認められた。CTにて多発肺転移巣を認めたが、左腎切除術を受けた。肉眼的には灰白色縲恍W褐色の充実性腫瘤で辺縁部から作成した標本を提出した。
- 318-08副睾丸腫瘤38 男性吉河康二/別府医療センター
約5年前から左副睾丸の部位にパチンコ玉くらいの腫瘤があるのに気づいていた。40日前から誘因無く同部がピンポン球大に腫脹し,痛みも強く,泌尿器科を受診し,急性精巣上体炎の診断にて入院した。体温36.5℃,CRP 3.39 mg/dl, WBC 14,150/ mm。抗生物質の投与にて約1週間で炎症所見は消失し,硬結を残して軽快した。しかし,患者が硬結の摘出を強く希望したため手術が行われた。肉眼的には,直径16 mmの球形腫瘤で,弾性硬,淡褐色,ほぼ境界明瞭であった。
- 318-09傍精巣腫瘍76 男性田崎貴嗣/九州労災病院 病理科
心房細動、高血圧、胸椎黄色靭帯骨化症にて当院通院中に、約2週間前頃より右鼠径部痛、腫瘤を自覚、鼠径ヘルニアを疑われ、当院外科紹介受診。その際に陰嚢内に腫瘤を指摘され、当院泌尿器科受診。腫瘤は右精巣上体部に存在し、径約4cm大で、エコーでは内部は不均一であった。精巣上体膿瘍、精巣上体腫瘍が疑われ、右高位精巣摘除術および右鼠径ヘルニア根治術が施行された。腫瘍は境界明瞭、弾性硬、割面にて内部は壊死・出血をきたし、辺縁部で白色調を呈した。腫瘍は、精巣とは白膜で境界されていた。
- 318-10子宮頸部・体部腫瘍87 女性山下 篤/宮崎大学 構造機能病態学
不正性器出血を主訴に子宮内膜細胞診・組織生検でEndometrioid adenocarcinomaと診断され子宮附属器摘出術を受けた。内子宮口より膣側に2?1.5?1cmの白色隆起性病変を認めたが、子宮頸部の肥厚は認めなかった。
- 318-11子宮体部腫瘍26 女性伊地知 佳世-中島 豊/九大病理病態学-福岡日赤
2年前より不正性器出血が出現し、近医産婦人科を受診したが、明らかな異常所見は指摘されなかった。しかし、それ以降も不正性器出血が持続するために施行されたMRI検査では、子宮は径13×8.5×8.7cm大に腫大し、子宮内腔に不均一に増強される腫瘤像を認めた。腫瘍マーカーはCA125が軽度上昇していたが、CEA、CA19-9は正常範囲内であった。子宮内膜組織診にて内膜異型増殖症以上の病変が疑われたため、開腹術が施行された。摘出した子宮体部の内腔は外向性・乳頭状に発育する径10cm大の腫瘤で充満していた。両側卵巣はPolycystic ovaryの所見であった。標本は子宮体部腫瘍のほぼ中央から採取したものである。
- 318-12卵巣腫瘍59 女性二村 聡/福岡大学医学部病理学講座
主訴: 下腹部鈍痛。子宮筋腫(長径140mm)の治療目的で受診。画像上、両側付属器を含めて腹腔内臓器には悪性を疑う所見はなく、単純子宮全摘出術および両側付属器切除術が施行された。摘出検体の切り出し時、卵巣の大きさに有意な左右差はなかったが、左卵巣内部に境界鮮明な淡黄白色調の腫瘤(10×8mm)を認めた。配布標本は当該腫瘤を含む左卵巣の最大割面標本です。
- 318-13左乳房腫瘤82 女性島尾 義也/県立宮崎 病理科
1年ほど前から左乳房の腫瘤を自覚していた。近医を受診し、左乳房のCA領域に5×6?の弾性軟、境界明瞭で内部均一の腫瘤を確認された。様子観察していたが、2ヶ月前に増大傾向を認め大きさが10×12?になっていた。乳腺の葉状腫瘍が疑われて、左乳房全摘出術、左大胸筋合併切除が行われた。腫瘍はその大部分が大胸筋の下(胸壁側)に存在し、乳腺全体を皮膚側に押し上げるように存在していた。標本は腫瘍の一部である。
- 318-14後腹膜腫瘍46 女性本田由美/熊本大学医学部附属病院 病理部
子宮頚癌Ia期の臨床診断で単純子宮全摘術を施行された際、術中に、子宮傍組織付近の後腹膜に、拇指頭大で弾性軟の腫瘤がみつかった。術中所見では上膀胱動脈の背側の静脈に連続しているように見え、血管腫を疑ったとのこと。切除された腫瘍のほぼ最大割面を配付した。なお子宮頚部は微小浸潤扁平上皮癌であった。
- 318-15Tumor of the heel70 男性久保 雄一郎/九州大学形態機能病理学
Since 20 years ago, the patient had noticed a small papule at his right heel. The lesion grew slowly, and became 3 x 2.5 cm in size. After punch biopsy, resection of the tumor was performed. The tumor was located at dermis to subcutis, and the cut surface was myxomatous in appearance.
- 318-16皮膚腫瘍74 男性郭?- 山田壮亮/産業医科大学 第二病理学教室
約半年前から、背部に疼痛を伴う30×20mm大で辺縁整の、褐色調で弾性硬な扁平隆起性局面が認められていた。近医皮膚科でステロイドを外用されるも軽快しないため、皮膚生検後、切除術が施行された。病変は真皮を中心に広がっており、大きさ約35×30×10mm大で、境界不明瞭な白色調腫瘍であった。臨床診断:基底細胞癌or隆起性皮膚繊維肉腫。生検診断:ケロイド疑い。 お配りした標本は第一回目切除時の検体です。
- 318-17前頭部皮下腫瘍83 女性伏見文良/九州がんセンター 病理診断科
5年前に直腸癌(MP、中分化型腺癌)に対してMiles手術施行された。1か月前、前頭部に3cmと1cmの腫瘍が出現、切除された。配布した標本は1cmの腫瘍より作製した(3cmの腫瘍はバーチャルスライドで閲覧できます)。
- 318-18右側脳室内腫瘍62 男性杉田 保雄/久留米大学病理学講座
16年前に腎癌で部分摘出術の既往がある。定期的に経過観察されていたが、原発巣の再発はみられていない。2ヶ月前頃より頭痛、嘔気が出現してきたために近医を受診した。画像診断で右側脳室三角部に5cm大の占拠性病変が認められた。転移性脳腫瘍の診断で摘出術が施行された。腫瘍は灰白調で弾性硬であり、右側脳室後壁外上部の一部に接着して軽度の脳内浸潤が見られた。しかし、大部分は右脳室内に存在して脳室壁から容易に剥離されて亜全摘出された。提出標本は最大割面の一部である。