第382回九州・沖縄スライドコンファレンス抄録
- 熊本市民病院 病理診断科 豊住 康夫 部長
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■当日は、第94回九州病理集談会が合わせて開催されます。
■次回スラコンのお知らせ
第383回 2021年9月25日(土) Web開催
臨床との合同カンファレンス:「皮膚疾患の病理」
世話人 福岡大学 病理学講座 鍋島 一樹 教授
臨床コメンテーター 福岡大学病院皮膚科教授 今福 信一 先生
病理コメンテーター 桐生皮膚科医院 副院長 桐生 美麿 先生
*合同カンファレンスの際の標本送付枚数は53枚となっております。
- 382-01顎下腺腫瘍 バーチャル80代男性武藤礼治/福岡大学 久留米大学 熊本医療センター
糖尿病、脂質異常症のため近医でフォローアップ中、偶発的に頸部腫瘤が指摘され、精査のため当院に紹介された。自覚症状はない。身体所見上、右顎下腺領域で弾性硬、無痛性の腫瘤が触知され、超音波検査で血流豊富な顎下腺腫瘍が確認された。CT検査では軽度に分葉状の形態を示す長径25.6mm大の腫瘍がみられた。リンパ節腫脹は認められなかった。採血検査では、CRP 0.03 mg/dL, IgG 1872 mg/dL, sIL-2R 555 U/mLと軽度増加がみられたが、そのほかの免疫グロブリン分画、LDHを含め基準値内であった。HTLV-1抗体は陰性。診断と治療を兼ねて腫瘍切除術が行われた。本標本は、その代表割面である。
- 382-02頬粘膜腫瘍70歳代女性吉井大貴/熊本大学病院 病理診断科
17年前に右側頬粘膜から臼歯部にかけて存在する多形腺腫が切除されたが、5年前に同部位で複数の小腫瘤が出現し、徐々に増大していった。2年前にはこの領域でPET/CTによりFDGの異常集積(SUVmax = 5.8)が認められ、右頚部リンパ節の腫大が指摘された。1年3ヶ月前に8 cm大、3ヶ月前に 8 cm 大、2ヶ月前に 5 cm 大までの複数の腫瘤が右頬部から摘出された。いずれも肉眼的には褐色調ないし白色調の多結節状、充実性で、周囲境界は比較的明瞭であった。一部では嚢胞様空隙、出血が認められた。郭清リンパ節では転移は確認されなかった。配布した標本の組織は3ヶ月前に切除された腫瘤の最大割面の一部である。配布標本は、バーチャル画像①、初回手術時の多形腺腫の標本は、バーチャル画像②③で供覧する。
- 382-03左肺腫瘍71歳女性古賀 裕/九州がんセンター 病理診断科
検診で左肺に異常陰影を指摘され当院を受診した。CTでは左肺下葉S8胸膜下に18mm大の不整形充実性腫瘤を認め、内部は淡く増強された。PET/CTではFDGの異常集積(SUVmax=3.69)を認め、原発性肺癌が疑われた。腫瘍マーカーはいずれも正常であった。術中迅速診断では良悪性の鑑別困難であったが、部分切除が困難な場所であったため左肺下葉切除術が施行された。肉眼所見は境界明瞭な透明感のある黄白色腫瘤であった。配布した標本は腫瘍最大割面の隣であり、最大割面はバーチャルスライドで供覧する。
- 382-04肺腫瘍40代女性田中一仁-神尾 多喜浩/済生会熊本病院病理診断科
喫煙歴あり.右側胸部痛を主訴に紹介元で画像上,右肺門部にリンパ節と一塊になった腫瘤を認めた.肺癌が疑われ,当院へ紹介された.EBUS-TBNAの結果,腺癌転移と診断され手術が施行された.摘出された腫瘍は肺動脈に接し,肺門リンパ節と一塊になった3cm大の境界明瞭な腫瘍であり,割面は白色調であった.配布標本は,腫瘍の一部である.
- 382-05胃病変34歳女性津田 陽二郎/産業医科大学第1病理学
健康診断の胃透視検査で病変を指摘され、その後上部消化管内視鏡検査が行われ、胃体部大弯に頂部の血管増生を伴う10 mm大の粘膜下腫瘤を認めた。生検診断ではGroup 1であったが、腹腔鏡下胃部分切除術が施行された。配布した標本は、切除された病変の全体を含む様に作製されたものである。
- 382-06肝腫瘍74男性野口紘嗣/鹿児島大学病理学分野
健康診断にて肝S7に26x25 mm大の腫瘤を指摘された。臨床的に肝細胞癌と診断し、亜区域切除術を施行された。術前・術後の生化学検査では末梢血に異常は認められなかった。生来健康で既往歴はなく、造血器疾患や骨折などの外傷もない。飲酒歴はビール1000-1500 ml/day、B型・C型肝炎ウイルスの感染は認められない。割面は黄白色調の充実性腫瘤で、辺縁に黒褐色斑を伴っていた。配布標本は、摘出腫瘍の代表切片の一つです。
- 382-07右乳房腫瘍80歳代女性大栗伸行/宮崎大学医学部 構造機能病態学
手術4ヵ月前に右乳房・腋窩のしこりを自覚し近医受診。右乳房CD領域に形状不整、辺縁粗雑な26x25mm大の腫瘤および周囲の7mm、6mm大の結節が、腋窩に23x18mm大の腫瘤が認められた。右乳房のCNBで浸潤性乳癌と診断、腋窩の細胞診で乳癌の転移疑いと診断され、右乳房全摘+リンパ節郭清術が施行された。固定後の肉眼像で約45mm大の境界一部不明瞭な分葉状の黄色~乳白色の結節を認めた。お送りしたスライドは代表割面である。
- 382-08腰椎病変(バーチャル)70代男性島尾義也/県立延岡病院 病理診断科
10か月前から腰痛と微熱があり、鎮痛剤を投与されていた。3か月前に微熱が持続することと食思不振で近医を受診。画像にて腰椎椎間板炎が疑われ、当院整形外科を受診されている。複数の腰椎と腸骨にも病変が認められ、腫瘍性病変も否定できないとのことで、生検が施行されている。 提示した標本は生検検体である。
- 382-09右膝部軟部腫瘍24男性朝永匠/九州大学 形態機能病理学
The case is a 24-year-old woman. She bruised right knee 9 months ago, and a mass lesion had gradually enlarged. A 70 mm subcutaneous mass was detected by MRI. Spindle cell tumor is suspected from biopsy specimen, and wide resection was performed due to the increased tumor size. The cut surface of the resected tumor revealed white-colored and well-circumscribed solid mass.
The distributed specimen was prepared from maximum cut surface of the resected tumor.