第386回九州・沖縄スライドコンファレンス抄録
- 産業医科大学医学部 第一病理 久岡 正典 教授
- 産業医科大学医学部 第二病理 中山 敏幸 教授
演題募集について
発表方法
Web発表または事前アップロード発表
診断投票方法
事務局が準備した回答フォームを用いたWeb投票
締切日 2022年2月28日(月)
※世話人へのFAXやメール投票は行いませんのでご注意ください
※病理専門医の一人一票になっています
お知らせ
■次回スラコンのお知らせ
第387回 2022年5月14日(土)13:00~ web開催
世話人:九州大学大学院医学研究院 形態機能病理学 教授 小田 義直 先生
当日は世話人会・支部総会が合わせて開催されます
- 386-01左鼻腔腫瘍 (バーチャル)50歳代女性岩村隆二/産業医科大学第一病理学
1年以上前から持続する鼻閉・鼻漏があり、近医で慢性副鼻腔炎として3か月間マクロライド系抗生物質を投与された。症状改善に乏しく、精査加療目的に当院耳鼻咽喉科に紹介され、その際に撮影された頭部CT画像で、右上顎洞を主体とした慢性副鼻腔炎を示唆する軟部陰影とともに、左鼻腔内に18×11 mm大の鼻茸を疑うポリープ病変を認めた。標本は慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術の際に断片状に切除されたポリープ病変の全体像である。
- 386-02甲状腺腫瘍20代女性力武美保子/長崎労災病院 病理診断科
数年前より右頸部腫瘤があった。腫瘤が急速に増大したため受診、手術を希望された。頸部エコーでは、2 cm大の境界明瞭な嚢胞性腫瘍で内部に充実成分を伴っていた。腺腫様甲状腺腫の出血による増大が疑われ、甲状腺右葉切除術が行われた。
- 386-03肺病変(バーチャル)50歳女性原田佳和/産業医科大学第2病理学
24年前にタイから来日。呼吸苦を自覚して前医を受診し、右気胸と診断された。胸腔ドレナージで改善なく、手術目的で当院に転院した。CT画像でブラはなく、右S3に約10mmのいびつな形状を示す嚢胞性病変を認めた。術中所見で右S3にエアリークが同定され、部分切除が施行された。白血球 8000/μl (好酸球19.7%)。基礎疾患なし。喫煙歴 3本/日、1年。
- 386-04後縦隔腫瘍85歳女性菊島百香/福岡大学医学部病理学教室
2か月前に下肢のふらつきを主訴に当院を受診した。MRI検査で食道背側の後縦隔腫瘍を指摘され、縦隔腫瘍摘出術が施行された。腫瘍は14×8 cm大で、割面は黄色~白色調が混在し、一部出血していた。壊死はみられなかった。悪性腫瘍の既往はない。配布標本は代表2切片です。
- 386-05胃腫瘍(バーチャル)85歳女性長安真由美/宮大腫瘍・再生病態
高血圧、慢性腎臓病にて近医通院中。1か月前に血中CEA高値のため、上部消化管内視鏡検査が施行された。胃病変を指摘され、生検でGroup 2と診断された。精査加療目的に宮崎大学医学部附属病院消化器内科紹介となり、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による切除が施行された。病変の代表的切片をバーチャルスライドで呈示します。
- 386-06虫垂粘液腫瘤65男性古謝景輔/浦添総合病院
X-7年に血便を主訴に当院を受診。腹部超音波検査、CT検査にて虫垂の腫大を指摘された。虫垂炎ならびに虫垂腫瘍の診断となり、抗生剤加療後に精査、外科的切除が考慮されたが、通院を自己中断された。
X年に右下腹部痛を主訴に当院を受診。血液検査、CT検査、腹部超音波検査を施行された。虫垂の腫大は以前と著変なかったが、虫垂炎や虫垂腫瘍が考慮され、抗生剤加療後に盲腸ー虫垂切除が施行された。
手術標本より代表的な切片を提出しています。 - 386-07Pancreatic lesion64歳男性山田 裕/九州大学 形態機能病理
The patient was a 64-year-old man who came to the hospital with a complaint of abdominal pain. CT scan revealed gallbladder cancer and a 5 cm-sized multicystic lesion in the head of pancreas, suggesting intraductal papillary mucinous neoplasm. And then pancreatoduodenectomy was performed. The resected pancreas was containing multiple cysts without mucus.
- 386-08右乳腺腫瘍(バーチャル)40代女性太田 かおり/九州がんセンター 病理診断科
10年前に右乳癌に対して乳房全摘出術、センチネルリンパ節生検、皮膚拡張器(TE)挿入術が施行された。病理所見はMucinous carcinoma with intraductal componentsで、pT1cpN0cM0 stageⅠであった。術後翌年にシリコンブレストインプラント(SBI)への入れ替えが行われた。
術後はホルモン療法(抗エストロゲン薬5年+LH-RHアゴニスト製剤2年)を行い、以降は経過観察となった。
2か月前に右乳房内下側に発赤と疼痛を自覚し受診、エコーでSBIの破損と同部位に8mm大の腫瘤を指摘された。針生検で悪性と診断され、SBI除去と胸壁腫瘤摘出術が行われた。
病変割面は灰白色で境界明瞭、分葉状であった。標本は最大割面から作成したものである。
- 386-09胎盤腫瘍30代女性門脇 裕子/大分大学
在胎週数39W0日。経膣分娩。胎盤は重量800gであり、出生時羊水が混濁していた。児の呼吸不全及び貧血にて新生児搬送となり、原因検索のため胎盤が提出された。肉眼的に白色充実性の小結節状腫瘍が認められた。配布した標本は腫瘍の最大割面から作成された標本です。
- 386-10皮膚病変(左下腿)70代男性大栗伸行/宮崎大学医学部 構造機能病態学
1年前から下腿に痛みを伴う皮疹が出現し、近医で結節性紅斑としてステロイド内服治療されたが、軽快増悪を繰り返した。当院紹介受診時に両下腿に母指頭大の有痛性の硬結性紅斑を多数認め、その一部が生検された。その際の血液検査でCRP 0.85 mg/dL, リパーゼ 1648 U/L, アミラーゼ 84 U/Lで、膠原病を積極的に疑う検査結果はなかった。また、後日に行われた画像検査で肝右葉に16cm大の腫瘤を、膵体部に0.9cm大の結節を認めた。
- 386-11眉毛部皮膚腫瘍61歳男性小山 雄三/大分大学医学部 診断病理学講座
数年前より左眉毛部に皮下腫瘍を自覚していた。10か月前より腫瘍は増大した。受診時,2cm大のやや隆起する腫瘍であった。今回腫瘍の摘出術が行われた。配布標本は腫瘍の2分割の像である。
- 386-12右足底皮下腫瘤54女性水落伸治/久留米大学医学部病理学講座
約5ヶ月前より右足底に痛みを伴う皮下腫瘤を自覚。圧痛により歩行時に支障を来すようになり、精査加療目的で当院紹介受診となった。MRI検査では第Ⅱ趾MP関節足底側皮下に関節包と屈筋腱鞘に広く接する20x26x5mm大の扁平な嚢胞性病変を認め、手術にて切除された。
手術時の所見では関節との連続性はなく、嚢胞を穿刺した際には粘液はみらず、少量の血液様の液体がみられた。 - 386-13脳腫瘍20 代女性岡崎菜紗/熊本大学病院 病理部病理診断科
患者は 20 代女性。2 ヶ月前より頻回の頭痛および健忘症状を自覚していた。1 ヶ月前、強直性痙攣で搬送された。頭部 MRI では左前頭葉脳表に長径 46 mm、増強効果に乏しく、比較的境界明瞭な腫瘤性病変が認められた。当院脳神経外科にて開頭腫瘍摘出術が施行された。配布標本は摘出された腫瘍の一部である。免疫組織化学的に異型細胞は IDH1 R132H 陰性、ATRX 陰性(発現消失)で、p53 は陽性(90% 以上、変異パターン)であった。
- 386-14側頭葉腫瘍(バーチャル)18歳女性森坪麻友子/久留米大学
生来健康な若年女性で特記すべき家族歴はない。
2020年1月に症候性てんかんのエピソードがあり画像検査されたが異常所見指摘されなかった。
2021年3月より月に1度程度の症候性てんかんのエピソードがあり同年8月14日てんかん発作にて搬送され血腫成分を伴う頭蓋内器質性病変を指摘された。
海綿状血管腫と海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかんの疑いとなりてんかんのコントロール目的で血腫摘出術および焦点切除術が施行された。