第91回九州・沖縄スライドコンファレンス抄録
- 熊本大学医学部附属病院 病理診断科 三上 芳喜 教授
- 熊本大学大学院生命科学研究部 機能病理学分野 伊藤 隆明 教授
- 熊本大学大学院生命科学研究部 細胞病理学分野 菰原 義弘 准教授
演題募集について
パソコンによるプレゼンテーションについて
今回は、パソコンによるプレゼンテーションです。PowerPoint (Windows)にて準備下さい。発表データーは演題番号、演者、作成したOSとPowerPointのバージョンを明記の上、CD-RまたはUSBメモリーにて郵送下さい。
プレゼンテーション受付締切:平成30年7月5日(木)17時00分
診断投票宛先
投票用紙の受付をFAX及び電子メールで受付ています。但し、当日の受付は致しません。
熊本大学医学部附属病院 病理診断科
担当:安里嗣晴
Fax:096-373-7099
E-mail:urahugust@gmail.com
受付締め切り:受付締切:平成30年7月5日(木)17時00分
- 91-01主に腕神経叢に親和性を示したneurolymphomatosisの一剖検例60歳台 男性中島 裕康/福岡大学医学部病理学講座
約1年半前から右上肢の筋力低下と感覚障害を自覚したため、精査目的で当院神経内科に入院した。FDG-PETで腕神経叢の腫大及びFDGの集積を認め、髄液検査では異常を認めなかったため腕神経叢炎の診断となり、ステロイドパルス療法を施行したところ症状は改善した。経過観察中に再び神経症状が出現したため再度髄液検査を施行したところ、B細胞性リンパ腫が疑われた。リツキシマブ併用メトトレキサート療法及びメトトレキサート髄注療法を施行し、一時症状は改善したが、その後は徐々に症状の増悪を認めた。加療中に誤嚥性肺炎を併発し、死亡退院となった。剖検では腕神経叢に著明な腫大を認め、神経に沿ったリンパ腫の浸潤が見られた。
- 91-02心膜欠損への心嵌頓により急性心筋梗塞を発症した一例79歳 男性大栗伸行/宮崎大学医学部 構造機能病態学
既往歴に特記事項なし。死亡18日前に特に誘因なく胸背部痛が生じ、理学所見、血液検査、心電図や心エコー所見より急性心筋梗塞、大動脈閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全と診断された。心臓カテーテル検査が行われ、左前下行枝末梢(Seg.8,9,10)の閉塞と狭窄(Seg.7)を認め、狭窄部位(Seg.7)にステント留置が行われたが、両心不全のため永眠された。剖検では、心重量は475gで、心尖部は心膜欠損部に嵌頓し(心尖部より4cm)、絞扼により冠動静脈は圧迫され、嵌頓部心筋は暗赤色調を呈し瘤状に拡張していた。組織学的に嵌頓部より心尖部の心筋は広範な出血と壊死を来していた。嵌頓部の心嚢は線維性肥厚しており、慢性の経過もしくは先天性の心膜欠損と考えられた。嵌頓部より中枢の冠動脈には急性心筋梗塞を生じ得るような閉塞性病変や血栓形成を認めなかった。
- 91-03臨床的に原発性硬化性胆管炎と肺原発粘液癌が疑われた1剖検例40代女性甲斐敬太/佐賀大学医学部附属病院 病理部・病理診断科
近医で胃粘膜下腫瘍と逆流性食道炎でフォローされていた。背部痛が出現し、近医受診。CTで後腹膜線維症を疑われ当院紹介。血清IgG4の上昇なく、背部痛も改善傾向であったため、外来経過観察。初診から3か月後、肝障害および胆道系酵素の上昇を認め、IgG4関連胆管炎やPSCの鑑別目的に当院消化器内科入院。ERCで枯れ枝様の多発胆管狭窄の所見と、肝生検の結果も加味してPSCの臨床診断となった。
UCDAの投与で外来フォローとなったが、初診から6か月後、黄疸が増悪し再入院。PSCの増悪もしくは胆管癌が疑われ、減黄目的のステントチューブ留置、および胆管生検と胆汁細胞診が提出されたが、胆管生検で悪性細胞は指摘されず、胆汁細胞診はClass ?であった。胸部CTで両肺の多発結節影が出現し、胸腔鏡下肺生検が施行された。肺生検の病理は粘液癌で、消化器癌からの転移も否定できない所見であったが、臨床的に肺原発粘液癌の診断となった。
初診から8か月後頃より、多発肝膿瘍を合併。膿瘍ドレナージや抗菌薬による加療がなされたが、炎症のコントロールは困難であった。初診から9か月目のCTで胃幽門部の粘膜下腫瘍が増大しており、画像上周囲リンパ節および転移を伴う胃癌が疑われた。EUS-FNAによる確定診断や化学療法も検討されたが、全身状態が悪く困難。その後、緩和医療導入となり、初診からおよそ11ヵ月目に死亡退院となった。