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第96回九州・沖縄スライドコンファレンス抄録
日時
2023年07月08日(土)
13:00~
開催方法
会場開催
会場名
令和健康科学大学 メインホール
会場住所
811-0213
福岡市東区和白丘2丁目1番12号
世話人
- 福岡和白病院病理診断科 中野龍治 先生
- 福岡和白病院病理診断科 松山篤二 先生
演題募集について
パソコンによるプレゼンテーションについて
詳細は第394回スライドコンファレンスを参照してください
- 96-01心移植後7カ月目に急死した剖検例50歳代男性甲斐敬太/佐賀大学医学部附属病院 病理部・病理診断科
X-7年に拡張型心筋症の診断となり、心不全の増悪による入退院を繰り返していた。X-3年からVTの頻度が増加。X-2年、VTのコントロール困難で、心移植の適応と判断された。X年、A大学病院で心移植が施行された。各種免疫抑制剤の投与下で拒絶反応なく経過。移植後6カ月目、A大学病院に定期検査目的に入院。冠動脈造影や心電図上、明らかな異常所見はなく、心筋生検もGrade 1の拒絶反応を認める程度であった。移植後7カ月目、腹部圧迫感を自覚。腹壁瘢痕ヘルニアの治療検討目的にA大学病院を受診した。その翌朝、自宅で心肺停止となっている所を家人が発見。警察にて死亡確認となった。病死と判断され、病理解剖目的に当院搬送。病理解剖を行った。
- 96-02被嚢性腹膜硬化症を発症し、腸閉塞から多臓器不全へ陥ったアルコール性肝硬変患者の一剖検例60代男性中園裕一/別府医療センター
死亡14年前よりアルコール性肝硬変と診断された患者で、死亡5年前に難治性腹水に対して腹腔-静脈シャントを造設された。死亡の2年前より数回の腸閉塞の既往あり。死亡3日前に再び腸閉塞症状を発症し、入院加療が行われるも、肝機能と腎機能が急速に低下し死亡した。剖検では腸管は全体が繭状の硬く厚い線維化組織で被嚢化され、用手剥離が困難なほど癒着していた。肝硬変に陥っていた肝では偽小葉内に地図状の壊死巣が広く分布していた。両肺は急性・慢性のうっ血像とともに誤嚥性の大葉性肺炎があった。心臓は求心性に左室が肥厚していた。腹膜の線維化は肝硬変および腹腔-静脈シャント造設に伴う合併症と考えられ、諸機能が不安定な状況下での腸閉塞により循環体液量が減少し心機能が低下したことで肝壊死を生じ肝不全となった。その他、肝腎症候群による腎不全や大葉性肺炎が合わさった結果、急速な経過を辿ったと推測する。